souan-1969のブログ

熱しやすく冷めやすいままで生きていく

ひとりごと

「souan おる?」

呼び捨てで訪ねてくるのは

あの子しかいない。

案の定、2月まで担当していたJくんだった。

ぎゅっと引き締まった身体つきに、フードから覗く顔がよく日に焼けているのが遠目でもわかる。

 

担当を離れるとき

契約や手続きで、わからないことがあったら連絡するように伝えていたが、とある手続きがしたいのだとやってきた。そういうところはすごく素直だ。

まだ10代の若者で、社会経験も少ない。

私に相談してきたことが嬉しくもあり

また、相談者を間違えていない彼の行動に安心する。

 

頑張って仕事をしているようだ。

 

高校を辞めて以来ずっと金髪だったが

今どんな髪型してるのかとフードを脱がしてみると

想像に反して坊主だった。

「仕事覚えんけ、坊主にされた。」と笑いながら言うので

「鍛えられているんだね。」と一緒になって笑った。

 

Jくんは、その仕事を始めて1年になる。”継続”が困難になる、家庭環境や年代、性質等の課題が多い中で、仕事が継続できることは本当にすごいことだ。

「偉いね」と誉めると

 

「俺、仕事覚えられんけ、怒られてばっかりなんよ。」と再び言う。

怒られると頭が真っ白になってどうでもよくなる。うるさい先輩に『なんか言え。』と言われても何も言えない。言っても言わなくても絡まれるから面倒くさくて黙ってしまうのだと。

仕事に行くのがきつい。

熱があって体調が悪いといっても遊びに連れ出されツラかったと。

Jくんは何でもないことのように話した。

 

この子を庇護して甘やかしてくれる大人は

この子のまわりにはいない。本当はまだ高校生の年齢なのに。

 

「坊主にされたのはパワハラなんだね。」というと

「こんな仕事やけ、パワハラとかないと。」という。本当はすごく嫌だったのだと、初めて気がつき、自分の鈍感さが腹立たしくなる。

 

結局私は何もできない。

せめて、せめてこの子が損をしないような手続きを、知恵を総動員してしてやるしかない。

笑いながら話す辛いことを汲みっとって、「辛かったね。」といってあげるしかない。

幸せになりますようにと祈ってあげるしかない。