souan-1969のブログ

熱しやすく冷めやすいままで生きていく

「書く」習慣で脳は本気になる 〜茂木健一郎

 怠け者の私の脳は、人より怠け者に違いないが、そもそも脳が怠け者であるという茂木さんの言葉には心底ホッとした。
 今回の文章教室の課題図書である、脳科学茂木健一郎さんの“『書く』習慣で脳は本気になる”が課題にあがるとすぐに本をAmazonで注文し一気呵成に読んでしまった。
 私は、年に数回学校に出向き夢を叶えるための方法について出前授業をしている。いったい私が何の夢を叶えたのかはおいておいて、授業はあるスキームによって進められる。
 その中で、目標を明確に思い描くこと、描いて可視化させること、人に伝えること、伝える際にあたかももうなったように伝える(発表する)ことなんかを子どもたちに授業で伝えていっているのだ。茂木さんという脳科学者が、無意識を意識化させることの重要性や脳は時間の変化を認識しないため「言葉をタイムマシーンにする。」という、授業で伝えていることのエビデンスが示されておりとても感動してしまった。
 「書く」という行為が、目標達成に非常に有効であることは、年初めの書初めや自分用の目標達成シートの達成率をみて体感しているところである。ただし、掲げているのは目標であって‘夢“という大きなものではない。授業では、夢に大小はないと伝えているため、大きな夢=立派ではないことは百も承知であるが、本書を読むと怠け者の脳の私も何かやってやろうというやる気がムクムク湧いてきた。
 今までの私の人生でも、確かにセレンディピティーは訪れている。セレンディピティーとは偶然の幸運に出会う能力のことである。自分の過去を振り返った時、私"それ"のひとつは公務員になれたことだと言える。
 バブル後期に運良く大手企業に就職したたものの、妊娠を機にあっさり退職した後、私は子どもを抱えた独り身となった。再就職はままならず、20社目の面接でやっと採用されたのは近所の福祉施設のパートであった。ここで、待遇に大いなる不満を抱えたまま(途中で嘱託)10年間福祉に邁進し、さらなるステップアップを目指して通っていた福祉専門学校の交流会でまさにそれはおこったのだ。
たまたま、隣に座った卒業生に「今年自分は公務員になった。自分が採用された自治体は年齢制限がないから来年受けてみれば。」と言われたのだ。彼の雑談を鵜呑みにした私はそれから1年間真剣に勉強し、翌年無事に公務員となった。40歳の時だ。
 ステップアップしたいと公言していたこと、熱意、そして経済的な不安がモチベーションだったと思う。非常に明確な目標を持っていた。そこに至るには福祉施設に採用されたこと、それ以前に大企業を簡単に退職したこと、長くパート待遇であったこと、少ない収入から学費を捻出して専門学校に通ったこと、学校の交流会に参加したこと。辛かったこと苦しかったことも含めて、全て今につながっている。身分の不安定な職から公務員になり私の生活は激変した。あの時の経験は私のセレンディピティーであり、私の人生のカノンであり続ける。
 そしてこれから先、茂木さんが本書でおっしゃるように自分の好きを見つけて突き詰めていけば再びそれに遭遇できると確信し、ワクワクしてしまった。

 ああ、もしかしたら、この本との出会いが振り返ったミライでの私のセレンディピティーなのかもしれない。
令和3年5月23日